死角(運転席から見えない部分)と運転
1 二輪車から、四輪車の見え方
四輪の運転者は、二輪の運転者を軽視する(軽く見る)傾向があります(二輪車は残念ながらマイナーな乗り物です。四輪運転者の中には、原動機付自転車と同じような速度と思っている方もいますが、実際は四輪よりも車が軽いので、スポーツカーよりも速度が出ます)。また、車体が小さいために、見落とされたり、距離感を見誤る傾向があります。
二輪運転者の注意点
・四輪車の死角(運転席から見えない部分)に入らないようにします
・必要な距離を確保するなど、四輪運転者が気づきやすい位置を走行します。
・右後方の交通状況を十分確かめます(二輪車にも当然死角があります)。
四輪運転者の注意点
・二輪車も同じく簡単には停止できません(停止距離)。
・二輪車は死角(運転席から見ない部分)に入りやすく、その存在に気づきにくいので進路変更などをするときは十分安全確認をします。
・二輪車は車体が小さいため、速度が遅く感じたり、距離が実際より遠くに見えたりします。
2 死角(しかく)の事例
無事故運転者は、死角となっているところに危険がないかを探り、常に慎重な運転をしています。しかし、事故を起こした運転者のいいわけを聞くと、
① 駐車車両のかげに歩行者がいるとは思わなかった
② カーブで対向車が来るとは思わなかった
③ 交差点で右方(右)から車が来るとは思わなかった
など、危険を予測せず先入観で他の交通はないものと自分勝手な判断をしています。視野に入らない交通、今見えていない交通にも注意を向け、本当に予測すべき交通がないのか十分に確認する必要があります(~かもしれない運転)。
3 自動車自体の死角
すべての自動車には死角(運転席から見えない部分)があります。車体が大きくなればなるほど死角は増えます。運転席に座る前に死角になる部分を確かめてから乗車するようにしましょう。
4 駐車車両がつくる死角
① 駐停車車両には必ず死角となる部分があります。特に両側に駐停車車両がある場合は、両側に死角ができ、歩行者の発見も困難になります。運転者な両側に注意を払わなければなりません。
② 連続して駐停車車両がある場合、死角となる部分が広範囲に増え、危険度も高くなります。
③ 幼児は身長が低いために、死角に入りやすくなります(特に後退時は、後退する前に後方の安全を確かめ、窓を開けて耳でも確認する)。
5 交差点での死角
① 左方向の死角
特に二輪運転者は左に寄って走行しやすいので、左方向から来る車の発見が遅れる状況にあります。
見通しの悪い交差点では、必要に応じて一時停止や徐行(義務)かつ窓を開けるなど、安全を十分に確かめてから進行しましょう。
② 右折車の死角
交差点で右折する場合、対向車のかげに死角ができ、死角の中にいる二輪車に気づかない場合があります(右直事故や直右事故)。
③ ショートカット(省略)走行による死角
交差点を右折する場合、ショートカット走行をすると右方向の死角を大きくし、危険性が高くなります。交差点の中心のすぐ内側(直近の内側)を徐行します。
6 カーブがつくる死角
見通しの悪いカーブほど死角部分が広範囲になります。また、同じカーブでも障害物があるかどうかで死角の範囲が広範囲になります。追い越しはやめましょう。
7 防衛的運転方法(自分の身を守る)
① 危険に備えた速度
万が一に備え、危険に対応できる速度で走りましょう。
② 適切な走行ポジション(位置取り)
相手からも見えやすい位置を走りましょう。
8 車両間の意思疎通の方法
使い方が本来の意味とは異なります。
① 交差点でのパッシング(ライトの明滅)
速度や状況によって、行かせてもらえるのか(譲っているのか)、対向車が先に通り過ぎるのか、意味が異なるので、十分に確かめましょう。
高速道路などでは、後続車に渋滞を知らせるときに使用します。また道を譲ってもらったときに、感謝を表すために使用することがあります。
③ 単路での左ウィンカー
「先に行ってください」の意味があります。対向車に十分に注意して追い越しましょう。
④ 前照灯の切り替え
夜間など見通しの悪い交差点を通過するときに、低速にしながら前照灯の切り替えを行うことで、相手に自分の存在を知らせます。また狭い道などで道を譲る場合に消灯する場合があります。場所や状況を考えて通行しましょう。