ドライバー日記

世の中から交通事故を無くしたい。

本免学科試験対策9【有料級】「人間の能力と運転」

Ⅰ 認知・判断・操作

1 認知・判断・操作

 運転者が走行中にブレーキをかけるときは、まず、目や耳で障害物を認知し、ブレーキをかけるべきだと判断してから、操作に移ります。

 この認知→判断→操作の過程には多少の時間がかかります

 短時間のうちにすべての情報(障害物など)をとるのは難しいことです。

 また、車の走行速度や障害物の距離などを判断するときは、自分の判断が実際の速度と距離とは異なることがあるので注意しましょう。

 さらに周囲や運転者本人の条件が悪くなると、正確に判断することはいっそう困難になります。

 このように、人間の能力には限界があることをよく知ったうえで、運転することが大切です。

2 反応時間

 運転者が危険を認めてからブレーキをかけ、ブレーキがきき始めるまでには1秒くらいかかると言われています。これを反応時間といいます。

 1秒間に走る距離は、速度が高ければ高いほど長くなり、障害物を避けることは難しくなるので、速度は控えめに、ブレーキは早めにかけるようにしましょう。

 反応時間の3段階

 反射時間+踏み替え時間+踏み込み時間=約1秒 

 

3 視覚の働き

 車を運転するときはさまざまな体の働きを使わなければなりません。特に目から入ってくる情報に頼る割合が高く、視覚の働きは最も大切です。

 ① 視力

  a 視力

   視力は普通、万国式視力表を使って測定します。しかしこれは1点を注視したときの視力ですから、注視点から離れたところの視力は測定視力よりも低下します。

  したがって運転中は、1点だけを注視(2秒以上見ること)しないで、必要に応じてたえず目を動かし、まんべんなく注意を払わなければなりません。特に速度が速くなると、遠方の情報まで的確に取る必要があります。常に情報を先取りすることを心がけましょう。

  b 動体視力

   動きながら物を見る場合、または動いている物を見るときの場合の視力を動体視力といいます。動体視力は静止したまま静止したものを見るときの視力(静止視力)に比べて低くなります(約1/2以下)。したがって、速度が速くなると視力が低下し、それだけ危険な状況の発見が遅れることになります。

 ② 視野

  a 視野 

   人が目の位置を変えずに見渡せる範囲を視野といいます。普通、静止時の視野は、片目で左右それぞれ160度くらい、両目なら200度くらいです。

   このうち色彩を完全に確認できるのはさらに狭く、左右それぞれ35度付近までで、そこから外側になるほど、色彩を正確に確認できなくなります。したがって、信号や標識などはよく見ないと、見間違えるおそれがあります。

  b 視野と速度の関係

   車の速度が高くなるほど、運転者の視野は狭くなり、遠くを注視するようになるために、近くは見えにくくなります

   したがって、速度を出しすぎると近くから飛び出してくる歩行者や自転車などを見落としやすくなるので注意しましょう。

 ③ 順応

  暗いところから急に明るいところへ出ると、最初はまぶしくてよく見えませんが、しばらくすると目が慣れて通常通り見えるようになります。これを明順応といいます。

  反対に明るいところから急に暗いところへ入ったときも、最初は何も見えませんが、やがて少しずつ見えるようになります。これを暗順応といいます。暗順応のほうが明順応より時間がかかります。トンネルの出入り口を走行するときなどは、速度を落として慎重に運転しなければなりません。

4 距離と速度の判断

 運転者は走行中、ほかの車や障害物との距離を自分なりに判断し、時には速度計を見ずに走行中の速度を判断することもあります。

 しかし、人間の判断は必ずしも正確ではなく、錯覚を生ずることもあるので、距離や速度を判断するときは、カンに頼らず速度計を見て速度を確認する習慣をつけましょう。

 特に高速道路から一般道路に出たときは、速度超過になりがちなので注意が必要です。さらに、道路上のさまざまな条件が変化すると、速度や距離に対する判断の誤差はいっそう大きくなります。

 ① 夜間・・・周囲が暗くて見えにくいため、距離についての判断が狂う。また他車のライトを頼りにして、自分の車からの距離や他車の速度を判断すると、正確でない時がある。

 ② 高速道路・・・周囲が開けているため、実際の速度より遅く感じる。

 ③ 車の大きさ・・・同じ距離であっても大きい車近く、小さい車は遠くに感じる。

2 認知・判断・操作に影響を及ぼす要因

 認知・判断・操作に影響を及ぼし、反応時間を長引かせるなどの好ましくない結果のもととなる要因には、さまざまなものがあります。

 これらの要因は飲酒や疲労のように、前もって予防できるものもあります。

 ① 飲酒

  a 飲酒が及ぼす影響

   お酒を飲んだときの判断には個人差があります。また、お酒を飲むと一時的に緊張がとけて気分が高揚するので、頭が冴えたように錯覚することもあります。

   しかし、実際にはアルコールは確実に脳の働きを鈍らせます。物事を冷静に判断したり、論理的に考えることができなくなります。

   お酒を飲んだ後に車を運転すると、判断力や自制心が鈍るために、的確な操作をすることができなくなります。

   また視覚の働きが低下したり、距離や速度などの判断が狂うといったさまざまな悪影響が現れます。

 

  b 飲酒運転の恐ろしさ

  飲酒運転は、死亡事故などの重大な交通事故を引き起こします。お酒を飲んでから時間が経ったので、運転してもいいだろうと安易に考えることは大変危険です。

  少しでもお酒を飲んだときは、絶対に運転してはいけません。また、運転する予定のある人にお酒を勧めたり、飲ませてはいけません。

 ② 疲労

  a 疲労の原因

   運転中に疲労を感じるような場合には、次のような原因が考えられます。

   (a)睡眠不足などで生活リズムが乱れている。

   (b)高齢であったり運転経験が短い。また疲れやすさにも個人差があり、疲れやすい人もいます。

   (c)時刻、気温、道路の状況や走行距離、車内の環境などの条件によって疲れやすいこともある。

  b 疲労が及ぼす影響

   疲れた状態は、あくび、居眠りというかたちで現れたり、反応が遅くなるなどの変化が見られます。

   目に見えない変化としては、心拍数が増加したり、血圧が上昇します。少しでも眠気などの変化を感じたら、なるべく早めに休息をとることが必要です。

  C 過労運転を避ける方法

   極度に疲れた状態で車を運転することのないように、次の点に注意しましょう。

   (a)睡眠を十分にとり、体調を整えて心身ともに健康な状態で運転する。体調が悪いときや精神状態が不安定なときは運転しない

   (b)前もってゆとりのある運転計画を立て、長時間続けて運転しないようにし、少なくとも2時間に1回は休息を取る。

   (c)疲れを感じた場合は無理をせず、早めに安全な場所に駐車し、仮眠を取ったり軽い運動をする(仮眠した直後の運転は危険です)。

 ③ その他の要因

  運転者の体や精神の状態がよくないときは、反応が遅れたり、反応時間にムラが生じたりします。以下のような場合に注意しましょう。

  a 心身の状態

   かぜや病気で体の調子が悪い時、精神状態がよくないとき、また気分が浮かれているときは反応時間が長くなったり、不規則になったりします。

  b 病気と薬

   高血圧症、低血圧症、糖尿病など意識障害がいつ起きるか分からない病気やめまい、立ちくらみ、耳鳴り目のかすみなどの自立神経の失調や平衡感覚の障害を伴う病気を持つ場合は、反応時間が長くなる場合があります。

   また、かぜ薬などの抗ヒスタミン剤精神安定剤などの多くは反応時間を長引かせる原因になります。

  C 年齢

   一般に年を取るほど反応時間は長くなります。視力や聴力などが衰え、反射神経や筋力も低下します。

  d その他

   ぼんやり運転、運転経験の不足なども反応を遅らせる原因にもなります。

 

本免学科試験14【有料級】「適性検査結果に基づく行動分析」

Ⅰ 運転と性格

1 運転に現れる性格

 運転技術が同じでも、運転の仕方は人によって違います。運転者個人の性格や癖が運転に大きな影響を与えるからです。

2 交通事故を起こす人、起こさない人

 交通違反をすることや交通事故を起こすことと、運転者の性格や癖の間には関係があることが知られています。

 運転者の中には、何年間も無事故無違反の人もいれば、1年間に何回も交通違反や交通事故を繰り返す人もいます。

Ⅱ 運転適性検査

 自分の性格や癖を知るには、他の人に運転を見てもらうのもひとつの方法ですが、専門家によって実施される運転適性検査を受ければ、運転に関係が深い動作・行動や性格について、より正確に知ることができます。

Ⅲ 運転適性検査結果の運転への活用など

1 タイプ別の特徴と運転

 ① 状況判断が遅い人

  周囲の状況をすばやく判断することが苦手な人です。交通量の多い交差点や、歩行者、自転車の多い道路を通行するときによく考えずに行動することがあります。

  複雑な状況のなかで、あて推量で行動するのは危険です。教習で学習したことを思い出して運転しましょう。どこに危険が潜んでいるかを見抜き、危険に対して適切な行動をすることが大切です。

 ② 動作は速いが正確さに欠ける人

  何ごとにも活動的な人といえます。たいていの場合は運転も上手でキビキビ走ります。しかし、運転に慣れてくると、油断やうっかりしてしまうことがあります。一つひとつの操作を正確に行っているかをときどき自分で点検しましょう。

  また、周囲の状況によく気を配り、一呼吸おいて行動を開始しましょう。

 ③ 神経質な傾向のある人

  細やかな気配りのできる人です。

  しかし、細かいことを気にしすぎて大事なことを見落としたり、過ぎ去ったことを気にするあまりうわの空で運転することがあります。

  初心者のうちは運転に神経を使うことが多いものです。周囲の状況にバランスよく気を配るとともに、あまり緊張しないでリラックスして運転しましょう。

 ④ 気分の変わりやすい人

  気分の変化が激しい人です。

  特に気分が沈んでいるときは、頭の回転、体の動きの両方が低調となり、普段の能力を十分に発揮できません。このようなときは運転を控えるか、気分転換をして気分を落ち着けてから運転しましょう。

 ⑤ 攻撃的な傾向のある人

  他人に批判的な傾向があります。たとえ自分に法規的な優先権があっても、どこまでも主張してよいわけではありません。運転者の中には運転の下手な人もいますし、間違いをする場合もあります。自分が譲るくらいの余裕を持つことが大切です。

 ⑥ 自己中心的な傾向のある人

  いつもマイペースで行動できる人です。

  しかし、周囲への気配りにやや欠けることがあります。自分の行動が他人に迷惑をかけていないか、ときどき振り返ってみましょう。

 

2 「OD式安全テスト」タイプ別の特徴と運転

 OD式安全テストでは、「運動機能」、「健康度・成熟度」、「性格特性」、「運転マナー」の4つの要素から16の特性を評価するとともに、安全運転に求められる適性を総合評価として診断しています。

 総合評価には、主に運転操作に必要な心のはたらきについて評価した「運転適性度」、安全運転に求められる性格特性などについて評価した「安全運転度」があります。さらに、「運転適性度」と「安全運転度」の組み合わせから4つの運転タイプに分類されます。

 ① 安全運転タイプ

  「運転適性度」、「安全運転度」とも平均以上で、比較的安全に運転できるタイプです。しかし、事故を起こす可能性が無いとはいえないので、油断は禁物です。

 ② もらい事故傾向タイプ

  安全に対する意識が高く、自ら事故を起こす可能性は低いですが、技術的にもたつき、事故に巻き込まれやすいタイプです。

  交差点の右左折や車線変更など複雑な運転操作が求められる場面では、特に注意が必要です。

 ③ 重大事故傾向タイプ

  運転操作は比較的器用にこなせますが、安全運転をしようとする気持ちが不足しているタイプです。

  自分の運転技術を過信することなく、常に安全第一を心がけることが大切です。

 ④ 事故違反多発傾向タイプ

  「運転適性度」、「安全運転度」ともに低く、運転適性があるとはいえないタイプです。

  事故に結びつきやすい特性を理解し、安全を最優先にした運転を心がけてください。

3 危険に結びつく心の状態

 いつも落ち着いた状態で運転するのが理想ですが、ときにはイライラしたり、落ち込んだりすることがあります。そんなときは特に注意が必要です。

 ① イライラ

  出かける前におもしろくないことがあったり、または渋滞で思うように走れなかったりすると、イライラすることがあります。イライラすると、スピードを出したりほかの車に対する注意力が低下したりします。これは大変危険なことです。

 ② 悩みごと

  家庭、職場、学校での悩みごとがあると、運転中にうわのそらになったり、気分が沈みこんで、注意力が散漫になることがあります。

 ③ 慣れと気のゆるみ

  初心者のうちは慎重に運転しますが、少し慣れてくると、漫然とした運転になりがちなので注意が必要です。

 ④ 運転技能の過信など

  自分は運転が上手だ、絶対に交通事故は起こさないと考えがちですが、このような考え方は大変危険です。運転するときには、常に慎重さと謙虚さを忘れないことが大切です。

 ⑤ 先を急ぐ気持ち

  学校や会社に遅刻しそうになったり、待ち合わせの時間に遅れそうな場合は、スピードを出したり、赤信号を無視するなど危険な運転をしがちです。時間にゆとりを持って行動することが大切です。

防衛機制(ぼうえいきせい)」・・・自分の欲求が満たされないと人間の心は不安定になります。人間の心には欲求が満たされない場合に、別なもので欲求を満足させることによって心の安定を保とうとする働きがあります。このような働きを防衛機制といいます。

 防衛機制の結果として現れる運転行動は、しばしば交通事故に結びつく危険な運転行動となることがあるので注意が必要です。

 イライラを発散しようとして、スピードを出したり、ほかの車に幅寄せをすることはその例です。

 

本免学科試験対策1【有料級】「死角と運転」

 死角(運転席から見えない部分)と運転

1 二輪車から、四輪車の見え方

 四輪の運転者は、二輪の運転者を軽視する(軽く見る)傾向があります(二輪車は残念ながらマイナーな乗り物です。四輪運転者の中には、原動機付自転車と同じような速度と思っている方もいますが、実際は四輪よりも車が軽いので、スポーツカーよりも速度が出ます)。また、車体が小さいために、見落とされたり、距離感を見誤る傾向があります。

二輪運転者の注意点

 ・四輪車の死角(運転席から見えない部分)に入らないようにします

 ・必要な距離を確保するなど、四輪運転者が気づきやすい位置を走行します。

 ・右後方の交通状況を十分確かめます(二輪車にも当然死角があります)。

四輪運転者の注意点

 ・二輪車も同じく簡単には停止できません(停止距離)。

 ・二輪車は死角(運転席から見ない部分)に入りやすく、その存在に気づきにくいので進路変更などをするときは十分安全確認をします。

 ・二輪車は車体が小さいため、速度が遅く感じたり、距離が実際より遠くに見えたりします

2 死角(しかく)の事例

 無事故運転者は、死角となっているところに危険がないかを探り、常に慎重な運転をしています。しかし、事故を起こした運転者のいいわけを聞くと、

 ① 駐車車両のかげに歩行者がいるとは思わなかった

 ② カーブで対向車が来るとは思わなかった

 ③ 交差点で右方(右)から車が来るとは思わなかった

 など、危険を予測せず先入観で他の交通はないものと自分勝手な判断をしています。視野に入らない交通、今見えていない交通にも注意を向け、本当に予測すべき交通がないのか十分に確認する必要があります(~かもしれない運転)。

3 自動車自体の死角

 すべての自動車には死角(運転席から見えない部分)があります。車体が大きくなればなるほど死角は増えます。運転席に座る前に死角になる部分を確かめてから乗車するようにしましょう。

 

4 駐車車両がつくる死角

 ① 駐停車車両には必ず死角となる部分があります。特に両側に駐停車車両がある場合は、両側に死角ができ、歩行者の発見も困難になります。運転者な両側に注意を払わなければなりません。

 ② 連続して駐停車車両がある場合、死角となる部分が広範囲に増え、危険度も高くなります。

 ③ 幼児は身長が低いために、死角に入りやすくなります(特に後退時は、後退する前に後方の安全を確かめ、窓を開けて耳でも確認する)。

5 交差点での死角

 ① 左方向の死角

  特に二輪運転者は左に寄って走行しやすいので、左方向から来る車の発見が遅れる状況にあります。

  見通しの悪い交差点では、必要に応じて一時停止や徐行(義務)かつ窓を開けるなど、安全を十分に確かめてから進行しましょう。

 ② 右折車の死角

  交差点で右折する場合、対向車のかげに死角ができ、死角の中にいる二輪車に気づかない場合があります(右直事故や直右事故)。

 ③ ショートカット(省略)走行による死角

  交差点を右折する場合、ショートカット走行をすると右方向の死角を大きくし、危険性が高くなります。交差点の中心のすぐ内側(直近の内側)を徐行します

6 カーブがつくる死角

 見通しの悪いカーブほど死角部分が広範囲になります。また、同じカーブでも障害物があるかどうかで死角の範囲が広範囲になります。追い越しはやめましょう。

7 防衛的運転方法(自分の身を守る)

 ① 危険に備えた速度

  万が一に備え、危険に対応できる速度で走りましょう。

 ② 適切な走行ポジション(位置取り)

  相手からも見えやすい位置を走りましょう。

8 車両間の意思疎通の方法

 使い方が本来の意味とは異なります。

 ① 交差点でのパッシング(ライトの明滅)

  速度や状況によって、行かせてもらえるのか(譲っているのか)、対向車が先に通り過ぎるのか、意味が異なるので、十分に確かめましょう。

 ② ハザードランプ非常点滅表示灯)の点灯

  高速道路などでは、後続車に渋滞を知らせるときに使用します。また道を譲ってもらったときに、感謝を表すために使用することがあります。

 ③ 単路での左ウィンカー

  「先に行ってください」の意味があります。対向車に十分に注意して追い越しましょう。

 ④ 前照灯の切り替え

  夜間など見通しの悪い交差点を通過するときに、低速にしながら前照灯の切り替えを行うことで、相手に自分の存在を知らせます。また狭い道などで道を譲る場合に消灯する場合があります。場所や状況を考えて通行しましょう。

仮免学科試験対策「オートマチック車などの運転」【有料級】

Ⅰ オートマチック車の運転

 オートマチック車は、マニュアル車と運転の方法が異なるところがあり、それを知らないと思いがけない事故を起こすことがあるので注意しましょう。

1 運転にあたっての心構え

 オートマチック車やオートマチック2輪車の運転には、クラッチ操作がいらないので、その分操作の負担が軽減され、運転が楽になりますが、安易な気持ちで取り扱ってはいけません

 オートマチック車やオートマチック2輪車の運転の基本を理解し、正確に操作することが安全運転のために必要です。

 

2 4輪車の場合

 ① エンジンの始動

  a エンジンを始動する前に、ブレーキペダルを踏んでその位置を確認し、アクセルペダルの位置を目で見て確認しましょう。

  b ハンドブレーキがかかっており、チェンジレバーがPの位置にあることを確認したうえで、ブレーキペダルを踏み、エンジンを始動しましょう。

 ② 発進

  以下の順で発進しましょう。

  a ブレーキペダルをしっかりと踏んだまま、チェンジレバーを前進のときはD(ドライブ)に、後退のときはR(リバース)に入れ、その位置が間違っていないことを目で見て確認します。

  b ハンドブレーキ(駐車ブレーキ)を戻します。

  c ブレーキペダルを徐々に放します(クリープ現象により動き出します)。

  d アクセルペダルを静かに踏んで発進します。ブレーキペダルをしっかり踏んでチェンジレバーを操作しないと、急発進したり、突然後退したりすることがあります。

 なお、エンジン始動直後やエアコン作動時は、エンジンの回転数が高くなり、急発進する危険がありますので、ブレーキペダルを特にしっかり踏みましょう。

 ③ 交差点などで停止したとき

  a 停止中は、必ずブレーキペダルをしっかり踏んでおき、念のためハンドブレーキ(駐車ブレーキ)もかけておきましょう。

  b 停止時間が長くなりそうなときは、チェンジレバーをN(ニュートラル)に入れておきましょう(発進の際にはチェンジレバーを確認しておきます)。

  c ブレーキペダルをしっかり踏んでおかないと、アクセルペダルを踏まなくても自動車がゆっくり動き出し(※クリープ現象)、追突などの思わぬ事故を引き起こすことがありますので注意しましょう。※クリープ・・・這(は)う、(赤ちゃんが)ハイハイする。

 ④ 坂道を下るとき

  長い下り坂や急な下り坂では、チェンジレバーを2(セカンド)かLまたは1(ロー)に入れ、(シフトダウンによる)※エンジンブレーキを活用しましょう。

  ※エンジンブレーキは2種類あります。踏んでいるアクセルペダルから足を離すこと(オートマチック車はほとんど利かない)とシフトダウンによるものです。Lまたは1が最も強く作用します。

  長い下り坂でフットブレーキをひんぱんに使いすぎると、急にブレーキが利かなくなることがあり危険です(フェード現象、ベーパーロック現象)。

 ⑤ 駐車

  a 駐車の際には、ブレーキペダルを踏んだままハンドブレーキ(駐車ブレーキ)を確実にかけてから、チェンジレバーをP(パーキング)にに入れましょう。

  b 自動車が完全に停止しないうちにチェンジレバーをP(パーキング)に入れるのはやめましょう。

 「キックダウン」・・・アクセルペダルをけり出すように力いっぱい踏み込むと、エンジン音が高くなり、急加速すること。主に、高速道路において、本線車道へ合流するときや上り坂で失速したときに使用する。

 ② AT2輪車(スクーター)の場合

  a 発進

   クラッチ操作がいらない分、スロットル(アクセル・グリップ)を急に回転させると急発進する危険性がありますので、注意しましょう。

  b 低速で走行するとき

   オートマチック2輪車に無段変速装置が採用されている場合、エンジンの回転数が低いときには、車輪にエンジンの力が伝わりにくい特性があります。このため低速で走行している際に、スロットル(アクセル・グリップ)を完全に戻すと、車輪にエンジンの力が伝わらくなり、安定を失うことがあるので注意しましょう。

Ⅱ 先進安全自動車(ASV)の運転

 先進安全自動車(ASV)は、先進技術を利用して運転者の安全運転を支援するシステムが搭載された自動車ですが、このシステムは例えば、一定以上の速度で走行している場合には、適切に作動しない場合があるなどの限界があります。自動運行装置とは異なり、運転者が絶えず周囲の状況を確認しながら必要な運転操作を行うことを前提とした運転支援技術ですので、その限界や注意点を正しく理解し、その技術を過信せずに運転しましょう。

Ⅲ 自動運転車

 自動運転車は自動運行装置(使用条件内では運転者の操縦に必要な認知、予測、判断及び操作の能力を全て代替する機能を有する装置をいいます)が搭載された自動車をいいます。

 ① 運転に当たっての心構え

  自動運行装置を使って運転する場合であっても、運転者として責任を持って安全運転をしなければなりません。自動運行装置を使って運連する際には、その自動運行装置の使用条件の内容、性能及び使用方法を正しく理解し、過信せずに使って運転しましょう。

 ② 使用条件外での自動運行装置を使った運転の禁止

  使用条件外では、自動運行装置を使って運転してはいけません。

 ③ 自動運行装置を使って運転する場合の遵守事項

  自動運行装置を使って運転しているときは、自動運行装置から発せられる運転操作の引き継ぎ要請や自動運転車の異常を直ちに認知し、かつ運転操作を引き継ぐことができる状態でいなければなりません。

 ④ 運転操作の引き継ぎ

  自動運行装置を使って運転しているときは、自動運行装置から発せられる運転操作の引き継ぎ要請や自動運転車の異常を認知したときは、直ちに周囲の状況を確認して必要な運転操作を始めなければなりません。

 ⑤ 安全運転を支援するシステムを使った運転

  自動運転車は、自動運行装置のほかに運転者の安全運転を支援するシステムを搭載している場合があります。自動運行装置と、運転者の安全運転を支援するシステムではそれぞれ性能、使用方法などが異なります。

  自動運転車を運転する場合には、作動している装置、システムを常に把握し、過信することなく、適切に運転しましょう。

 

仮免学科試験対策「運転免許制度・交通反則通告制度」【有料級】

Ⅰ 運転免許の仕組み

1 運転免許証の携帯及び提示

 道路で自動車や原動機付自転車を運転するときは、その車種やけん引などの状態に応じた免許を受け、その免許証を携帯しなければなりません(免許証を携帯しないで運転した場合、「免許証不携帯」の違反となります)。

 また、警察官から免許証の提示を求められた場合には、免許証を提示し(警察官に免許証を手渡さ)なければなりません。なお、免許を受けていても免許の停止処分中の者はその期間、運転することはできません。

 無免許運転の例

 ① 免許を受けないで運転したとき(まさに無免許)

 ② 有効期間の過ぎた免許証で運転したとき(免許には有効期間がある)

 ③ 免許の取り消しを受けた後に運転したとき(人の命を奪うような事故や違反)

 ④ 免許の停止、仮停止期間中を受けたとき(重大な事故や違反)

 ⑤ 試験合格後の免許証交付前に運転したとき(発表があり、合格はしたが受け取っていないのにも関わらず待ちきれずに運転してしまった)

 ⑥ その免許によって運転できない自動車や原動機付自転車を運転したとき(免許外運転)

2 免許の種類と運転できる自動車など

 ① 免許の区分

   運転免許は次の3つに区分されます。

   第1種運転免許(自動車や原動機付自転車を運転しようとする場合の免許です)

   第2種運転免許(乗合バス、タクシーなどの旅客自動車を旅客運送のため運転しようとする場合や代行運転※酔った客の自動車である普通自動車を運転する場合の免許です)

   運転免許 第1種運転免許または第2種運転免許を受けようとする者が、練習などのために大型自動車中型自動車準中型自動車普通自動車を運転しようとする場合の免許をいいます。

 ② 第1種運転免許の種類(普通自動車は必ず覚えておこう!)

   大型自動車車両総重量(車の重さ+人の重さ+荷物の重さ)が11,000kg以上、最大積載量(荷物の重さ)が6,500kg以上、乗車定員(人の重さは1人あたり55kgで計算する)が30人以上いずれかに該当する自動車・中型自動車(車両総重量7,500kg以上11,000kg未満で最大積載量4,500kg以上6,500kg未満で乗車定員11人以上29人以下)・準中型自動車(車両総重量3,500kg以上7,500kg未満で最大積載量2,500kg以上4,500kg未満で乗車定員10人以下)・普通自動車(車両総重量3,500kg未満で最大積載量2,500kg未満で乗車定員10人以下)大型特殊自動車(ロードローラなど工事現場等で活躍する自動車)・大型自動二輪車(エンジンの総排気量が400cc・定格出力20キロワットを超える)・普通自動二輪車(エンジンの総排気量が50cc超400cc以下定格・出力20キロワット以下)・小型特殊自動車(耕運機やトラクターなど主に農耕用自動車)・原動機付自転車(エンジンの総排気量50cc以下・定格出力0.6キロワット以下またはエンジン総排気量20cc以下・定格出力0.25キロワット以下の三輪のものまたはエンジンの総排気量が20cc超50cc以下で車室を備えずかつ輪距が0.5メートル以下の三輪のもの)

   普通免許を持っていれば、上記の普通自動車小型特殊自動車原動機付自転車を乗ることができます。普通二輪免許を持っていれば、普通自動2輪車・小型特殊自動車原動機付自転車が乗れます。大型特殊免許を持っていれば、大型特殊自動車小型特殊自動車原動機付自転車が乗れます。ただし、小型特殊免許では小型特殊自動車だけ、原付免許では原動機付自転車のみ運転することができます。

受験資格

 受験資格(年齢・運転経験)、車両総重量(車+荷+人)、 最大積載量 (荷)、乗車定員(運転手を含んだ人数)

 普通免許・・・18歳以上、3.5トン未満、2.5トン未満、10人以下

 準中型免許・・・18歳以上、3.5t以上7.5t未満、2t以上4t未満、10人以下

 中型免許・・・20歳以上取得2年以上、7.5t以上11t未満、4t以上6.5t未満、11人以上30人未満

 大型免許・・・21歳以上取得3年以上、11t以上、6.5t以上、30人以上

 中型2種(タクシー)免許・・・21歳以上で取得が3年以上必要

3 仮免許

 ① 仮免許による運転

   大型自動車中型自動車準中型自動車または普通自動車の第1種運転免許または第2種運転免許を受けようとする者が、練習などのために運転しようとする場合は仮免許を受けなければなりません。

   仮免許を受けた者が大型自動車中型自動車準中型自動車または普通自動車を運転するときは、次のいずれかの人を運転席の横に乗せ、その指導を受けながら運転しなければなりません。

 ・その車を運転することができる第1種運転免許を3年以上受けている者

 ・その車を運転することができる第2種運転免許を受けている者

 ・指定自動車教習所の教習指導員

仮免許の有効期間は6ヶ月間です。

 ② 練習標識の表示

   仮免許を受けて自動車の運転をするときは、車の前と後ろに仮免許練習標識を定められた位置(地上から0.4メートル以上1.2メートル以下の高さで見やすい位置)につけなければなりません。

4 牽(けん)引(いん)免許(トレーラー免許)

 けん引するための構造、装置有する大型自動車中型自動車準中型自動車普通自動車大型特殊自動車で他の車をけん引するときは、けん引する自動車の種類に応じた免許のほか、けん引免許が必要です。

しかし、次のような場合はけん引免許は必要ありません

・けん引する車が車両総重量(車+荷+人)が750kg以下

・故障車をロープやクレーンでけん引するとき(車両総重量関係なし

5 緊急自動車の運転資格

 緊急自動車を運転する場合には、その自動車の運転に必要な運転免許のほかに、運転経験年数や年齢についての特別の資格が必要です。

大型自動車中型自動車準中型自動車緊急自動車(大型のはしご車、ポンプ車など)・・・年齢が21歳以上、免許取得3年以上

普通自動車緊急自動車(パトカー、救急車など)・・・年齢が20歳以上で免許取得2年以上

大型自動二輪車普通自動二輪車緊急自動車(白バイ、青バイ、赤バイなど)・・・免許取得2年以上

Ⅱ 運転免許証の更新など

1 運転免許証の記載事項の変更届

 免許を受けた者は、本籍、住所、氏名などに変更があった場合には、速やかに住所地の公安委員会に届け出て、変更のことがらについて届け出をしなければなりません。

2 運転免許証の有効期間

 初回更新者・・・適性試験(視力検査など)を受けた日の後の、3回目の誕生日から1ヶ月を経過する(3回目+1ヶ月を過ぎない)日まで

 優良運転者及び一般運転者・・・継続して運転している期間が5年以上あり、過去5年間に無事故、無違反または軽微な違反を1回のみした者は有効期間が5年です。ただし年齢によって変わります。

 違反運転者・・・継続して運転している期間が5年以上あり、過去5年間に事故を起こしたり、重大な違反や2回以上の軽微な違反をした者は有効期間が3年となります。

3 運転免許証の更新及び定期検査

 更新を受けようとするときは、有効期間の満了する直前の誕生日の1ヶ月前から満了する日(満了する日が土曜日、日曜日、祝日の場合はその翌日)のあいだに住所地を管轄する公安委員会に更新申請書を提出し、公安委員会が行う適性試験を受けなければなりません。一定の病気等に該当するか判断するための質問票を公安委員会から受けた者は、その質問票も合わせて提出しなければなりません。

 

4 運転免許証更新の特例

 海外旅行その他やむを得ない(どうしようもない)理由のため、更新期間内に適性試験(視力検査など)を受けることが困難と予想される場合は、住所地を管轄する公安委員会に更新期間前であっても、免許証の更新を申請することができます。

 また更新を受けようとする者のうち、優良運転者に限り更新申請書の提出を住所地を管轄する公安委員会以外の公安委員会を経由をして行うことができます。

5 更新を受けようとする者の義務

 更新を受けようとするときは、公安委員会が行う講習を受けなければなりません。講習には次の4種類があります。

 ① 優良運転者講習

  運転免許を受けている期間が5年以上で、過去5年間、無事故・無違反の者が受講します。

 ② 一般運転者講習

  運転免許を受けている期間が5年以上で、過去5年間、軽微な違反1回のみである者が受講します。

 ③ 違反運転者講習

  運転免許を受けている期間が5年以上で、過去5年間に事故を起こしたり、重大な違反や2回以上の軽微な違反を起こした者が受講します。

 ④ 初回更新者講習

  免許を受けている期間が5年未満の者(初回更新者)が受講します。

6 臨時適性検査

 免許を受けている人が、心身の障がいにより、車の運転に支障を及ぼすおそれのある場合は、公安員会は臨時適性試験(視力検査等)を行うことができます。

7 運転免許の失効

 免許証の更新を受けなかったときは、その効力が失われます(もう1度教習所などで免許証を取得し直します)。

 再び免許を取得するためには、改めて免許試験を受けなければなりません。しかし、次のような場合には、免許試験の一部が免除されます。

 ① やむを得ない理由のために免許の失効後、6か月以内に免許試験(学科・技能試験免除)を受けられなかった場合

  病気や海外旅行などのやむを得ない理由のため、免許が失効した後6か月以内に免許試験(学科・技能試験免除)を受けることができなかった場合は、その後その事情(病気、海外旅行など)がなくなった日(病気の場合は退院などの日)から1か月以内にその事情を証明する書類などを添えて申請をし、適性試験(視力検査など)に合格すれば、失効前の免許証を継続したとみなし、新しい免許証が交付されます。

   ただし、このような場合でも免許証の有効期間が満了した日から3年を経過しているときは改めて技能試験(運転)と学科試験を受けなければなりません。

 ② やむを得ない理由がなく、免許が失効した日から6ヶ月以内の場合

  免許が失効した日から6ヶ月以内であれば、適性試験(視力検査)などに合格すれば失効前の免許を継続したとみなし、新しい免許が交付されます。

8 申請による運転免許の取り消し

 運転免許を有する(受けている)者は、住所地を管轄する公安委員会に対し、運転免許の全部または一部(原付免許だけを残すなど)の取り消しを申請(免許の返上)することができます。

Ⅲ 点数制度の概要

1 点数制度の意義および内容のあらまし(おおよそ、大体)

  点数制度とは、自動車(原動機付自転車を含む)の運転者の過去3年間の交通違反・事故に、その内容に応じて定められた点数をつけ、その合計点数が一定の基準に達した場合に、運転免許の拒否、保留または取り消し、停止をする制度です。

2 違反行為と点数

 ① 基礎点数

  交通違反などにつけられる点数で、特に悪質で危険性の高い「特定違反行為」と特定違反行為以外の「一般行為違反」とに区分さ(分けら)れ、特定違反行為には「危険運転致死等」、「酒酔い運転」など、一般違反行為には「無免許運転」、「速度違反」などがあり、あわせて17段階の点数が定められています。

 ② 付加点数

  交通事故を起こした場合は、原因となった違反行為の基礎点数に交通事故の種別による付加点数が加算されます。

  また、救護義務違反(ひき逃げ)をすれば、さらに35点が加算されます。

3 処分の基準点数

 処分の基準となる点数は、過去3年以内の運転免許の停止の回数によって、運転免許の停止または取り消しの基準点数が定められます。

 なお、一定期間、無事故・無違反であった運転者については、違反点数または前歴の計算において次のような特例が認められています。

 ① 免許を受けていた期間が1年以上あり、その間無事故・無違反であったときは、それ以前の違反や事故の点数は加算されません。

 ② 免許を受けていた期間が2年以上あり、その間無事故・無違反であった者が軽微な違反行為(点数が1点、2点または3点である違反行為)をした場合、その日からさらに3ヶ月間無事故・無違反であったときは、その点数は加算されません。

 ③ 運転免許の停止などの、前歴のある場合であっても、その後1年以上の間、無事故・無違反で運転免許の停止も受けないで経過したときは、それまでの運転免許の停止などの回数は、前歴0回の者として扱われます。

Ⅳ 運転免許の取り消し、停止等

1 運転免許の拒否、保留など

 運転免許試験に合格した者であっても、いずれかに該当する人は免許を拒否、または6ヶ月を超えない範囲内で保留されることがあります。

 ① 次に掲げるような心身の障がいにより、車の運転に支障を及ぼすおそれのある人

  ・統合失調症

  ・てんかん、再発性失神、無自覚性の低血糖症

  ・躁うつ病、重度の睡眠障がいなど

  ・認知症

  ・アルコール、麻薬等の中毒者

 ② 交通違反、事故などを起こした人

 ③ 運転者に道路交通法の重大違反(酒酔い運転、麻薬等運転)をさせたり、またそれを助けたりする行為(重大違反そそのかし等)を行った人

 ④ 駐車場など道路以外の場所で自動車等を運転し、人を死傷させる行為(道路外致死傷)を起こした人

  また、上記に関わらず、次のいずれかに該当する人は、公安委員会から免許を拒否される場合があります。

 ① 自動車等を運転して、故意に(わざと)人を死傷させ、または建造物を損壊させる行為をした人

 ② 危険運転致死傷罪等に当たる行為をした人

 ③ 酒酔い運転、または麻薬等運転をした人

 ④ 救護義務違反(ひき逃げ)をした人

 ⑤ 道路外致死傷で故意によるものまたは危険運転致死傷罪等に当たる行為をした者

2 運転免許の取消し、停止など

 免許を受けた者が、心身に障がいを生じ、または免許の欠格事由に該当することとなったときは、免許が取り消されることがあります。

 また、免許を受けた者が次のいずれかに該当する場合は、免許の取消しを受けたり、または6ヶ月以内の範囲内で免許の効力が停止される場合があります。

 ① 次に掲げる病気にかかっていることが判明したとき

  ・統合失調症

  ・てんかん、再発性失神、無自覚性の低血糖症

  ・躁うつ病、重度の睡眠障がい等

 ② 認知症であることが判明したとき

 ③ 目が見えないことや次に掲げるような身体の障がいにより、車の運転に支障があることが判明したとき

  ・障がいにより腰を掛けていることができない人

  ・四肢の全部または機能を失った人

 ④ アルコール、麻薬等の中毒者であることが判明したとき

 ⑤ 交通違反、事故を起こしたとき

 ⑥ 重大違反そそのかし等、道路外致死傷を行ったとき

 ⑦ その他、免許を受けた者が運転することにより、著しく交通の危険を生じさせるおそれがあるとき

 また、上記に関わらず次のいずれかに該当する人は、免許が取り消される場合があります。

 ① 自動車等を運転して故意に(わざと)人を死傷させ、または建造物を損壊させる行為をしたとき

 ② 危険運転致死傷罪等に当たる行為をしたとき

 ③ 酒酔い運転または麻薬等運転をしたとき

 ④ 救護義務違反(ひき逃げ)をしたとき

 ⑤ 道路外致死傷で故意によるもの又は危険運転致死傷罪等に当たる行為をしたとき

● 悪質危険運転

 悪質かつ危険な運転に対する法律として「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」により、「危険運転致死傷罪」、「過失運転致死傷罪」があります。

 また、アルコールや薬物による事故を隠すため、現場から逃走した場合の「過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪」等もあり、無免許運転の場合はこれらの罰則に加算されます。

3 運転免許の効力の仮停止

 悪質な重大事故を起こしたときは、その日から30日間を限度に事故を起こした場所の警察署長から免許の仮停止を受けることがあります。

4 仮免許の取消し

 仮免許を受けた者が心身に障がいを生じ、運転に支障を及ぼすおそれがあるとき又は交通法令の違反により取消しの基準に達したとき、重大違反そそのかし等や道路外致死傷を行ったときは、仮免許を取り消すことがあります。

5 運転免許証の返納など

 次の場合、住所地の公安委員会に免許証を速やかに返納しなければなりません。

 ① 免許が取り消されたとき

 ② 免許が失効したとき

 ③ 免許証の再交付を受けたのち、失くした免許証を発見、または回復したとき

 

Ⅴ 初心運転者期間制度

1 初心運転者期間

 準中型免許、普通免許、大型二輪免許、普通二輪免許または原付免許を受けた者について、免許の種類ごとに、取得後1年間(停止中の期間を除く)が初心運転者期間とされます。

2 初心運転者講習

 初心運転者期間に道路交通違反などを犯し一定の基準(合計した点数が初めて3点以上となる場合、ただし1回の違反で3点以上となる場合を除く)に該当した者には、初心運転者講習が行われます。

3 再試験

 2の基準に該当する者が初心運転者講習を受けなかった場合や、講習を受けてもその後、初心運転者期間が経過するまでの間に道路交通違反などを犯し、一定の基準(合計した点数が初めて3点以上となる場合、ただし、1回の違反で3点以上となる場合を除く)に該当した場合は再試験が行われます。

 ただし、普通免許を2年以上受けてから準中型免許を取得した者は免除されます。

4 再試験に係る取り消し

 再試験に合格しなかった者や再試験を受けなかった者の免許は取り消されます。この取消処分については欠格期間(免許試験を受けられない期間)がありません

5 若年運転者期間制度

 ① 若年運転者期間

  特例取得免許(19歳から大型免許を受けることができる者に該当して受けた大型免許もしくは19歳から中型免許受けることができる者に該当して受けた中型免許)を受けている者で、特例取得免許を最初に受けた日から21歳に達する日までの間(停止期間及び20歳に達した日以後、中型免許のみを受けている期間を除く)が「若年運転者期間」といいます。

 ② 若年運転者講習

  若年運転者期間内に道路交通法等に違反する行為をし、一定の基準に該当し、通知を受けたときは、通知を受けた日から1ヶ月を超えるまでの間に若年運転者講習を受けなければなりません。

 ③ 若年運転者期間に係る取消し

  期間中に講習を受けないとき、または受講した後、若年運転者期間が経過するまでの間に再び道路交通違反などを犯し一定の基準に該当した者は、特例取得免許を取り消されます。

Ⅶ 取消処分者講習制度

 過去に運転免許の拒否、取消し(再試験に係る取消しを除く)または6ヶ月を超える期間の運転の禁止の処分を受けたことのある者が、欠格期間(運転免許試験を受けられない期間)後、運転免許試験を再び受けようとするときは、過去1年以内公安委員会が行う取消処分者講習を受けていなければ、運転免許試験を受けることができません。

 また、免許が失効したため、免許の取消しを受けなかった者等が運転免許を再取得する場合も取消処分者講習を受けなければなりません。

Ⅷ 交通反則通告制度の概要

1 交通反則通告制度の意義及び内容のあらまし

 交通反則通告制度とは、危険性の高い悪質な違反を除き、比較的危険性の少ない軽い交通違反(「反則行為」という)については、一定期間内に定額の反則金を納めれば、刑事上の責任は問われないというものです。

 しかし、無免許運転酒気帯び運転した者、反則行為によって交通事故を起こした者のような危険性の高い者には、この制度は適用されません。

2 反則金

 反則金は国に納められますが、都道府県や市町村の交通安全施設の設置などの使われます。

3 告知と仮納付

 ① 反則行為をした者は、警察官などから「交通反則告知書」(青色キップ)が交付されます。反則者は告知内容に異議がなければ、告知を受けた日の翌日から7日以内に定められた反則金を郵便局や銀行に仮納付をすることができます。

 ② 仮納付をした者に対しては、後日警察本部長がその者に公示の方法で通告することにより、反則金を本納付したこととみなされ、すべての手続がが終わり、刑事上の責任は問われません。

4 通告と納付

 仮納付をしないときは、指定された通告センターに出頭するか、または郵送による通告書で、反則金納付の通告を受けることになります。通告を受けた者は通告を受けた日の翌日から10日以内に仮納付と同じ方法で反則金を納付することにより手続きが終わります。

● 高齢者講習制度

 更新期間満了日における年齢が70歳以上75歳未満の高齢者については、更新期間が満了する6ヶ月以内に高齢者講習を受講しなければなりません。

 ただし、更新日前6ヶ月以内に公安委員会が行う任意講習または民間の行う一定の教育を受けた人は免除されます。

 高齢者講習の内容としては、受講時に運転適性指導を受けることにより、高齢者が加齢に伴って生ずる身体の機能の低下を自覚して、安全に運転することができることとしています。

 更新期間満了日における年齢が75歳以上の高齢者については、更新期間が満了する6ヶ月前以内認知機能検査を受けた上で、高齢者講習を受けなければなりません。ただし、過去3年以内に基準違反行為をした者は、運転技能検査を受け、検査に合格しなければ、免許の更新を受けることができません。

 また、75歳以上の方は、免許の更新時のみ受けていた認知機能検査を認知機能の低下により起こしやすい違反行為をしたときは、更新時を待たずに臨時認知機能検査を受けなければなりません。

 検査により、機能の低下が運転に影響するおそれがあると診断された場合は、臨時高齢者講習を受けなければなりません。ただし、検査により認知症のおそれがあると判定されたときは、違反の有無を問わず、医師の診断を受け診断書を提出しなければなりません(診断の結果、認知症と判断された場合は、運転免許の取消しの対象となります)。

● 違反者講習制度

 違反者講習は、

 ① 3点以下の違反行為(軽微違反)をし、その累計点数が6点になる者

 ② 軽微違反行為をしたときに前歴がない者

 ③ 過去3年以内に免許の効力の停止などの処分や違反行為をしたことがない者

 ④ 過去3年以内に道路外致死傷や重大違反そそのかし等の行為をしたことがない者

 に対して行う講習で、この違反者講習を受けた者に対しては、行政処分が行われないことになります。

 講習の内容としては、道路を通行する者に対する交通安全教育などの運転者の資質の向上に関する活動の体験を含む課程、または自動車を用いた運転適性指導を含む課程のいずれかを受講者が選択できることとし、これらを受講することにより自らの危険な運転行動について認識させることとしています。 

仮免学科試験対策「追い越し・行き違い」【有料級】

「追い越し」

Ⅰ 追い越しの禁止

 追い越しとは、車(軽車両、原動機付自転車、自動車、トロリーバス)が進路を変えて進行中の車(自動車、原動機付自転車、軽車両、トロリーバス)の前方に出ることをいいます。

 追い越しは複雑な操作を伴う行為なので、初心運転者はやむを得ない(どうしようもない)場合を除いて、追い越しはしないようにしましょう。(※軽車両・・・自転車、リヤカー、荷車、そり、人力車、馬車、牛車ほか。トロリーバス・・・架線から電気を供給して走行するバス。ここでは以下、省略します)

(1)追い越しを禁止する場合

  次の場合は危険ですから追い越しをしてはいけません。

 ① 前の車が自動車を追い越そうとしているとき(二重追い越し)→二重追い越し違反とならない場合・・・前の車(自動車、原付、軽車両)が原付、軽車両を追い越そうとしているときに追い越すことは、二重追い越し違反とはなりません。

 ② 前の車が右折などのため右側に進路を変えようとしているとき

 ③ 道路の右側部分に入って追い越しをしようとする場合に、反対方向からの車や路面電車の進行を妨げるとき

 ④ 前の車の進行を妨げなければ、道路の左側部分に戻ることができないようなとき

 ⑤ 後ろの車が自分の車を追い越そうとしているとき

 (2)追い越しを禁止する場所

  次の場所では、自動車、原動機付自転車を追い越すため、進路を変えたり、その横を通り過ぎたりしてはいけません。

 ① 標識(補助標識で追い越し禁止)により追い越しが禁止されている場所

 ② 道路の曲がり角付近

 ③ 上り坂の頂上付近

 ④ 勾配(10%以上)の急な下り坂・・・10メートル進んで1メートル下る坂

 ⑤ トンネル[車両通行帯(車線、レーン)がある場合を除く

 ⑥ 交差点とその手前30メートル以内の場所(優先道路を通行している場合を除きます

 ⑦ 踏切、横断歩道、自転車横断帯とその手前から30メートル以内

 (3)道路の右側部分へのはみ出し追い越し禁止

  標識や標示で示されているときは、追い越しのために道路の右側部分にはみ出して追い越してはいけません(中央線が黄色、白色でも実線の場合は、はみ出し禁止となっています)。→はみ出さなければ追い越すことは可能

Ⅱ 追い越しの方法

(1)安全な追い越しの速度と方法

  追い越しをしようとするときは、次のことに十分注意し、道路の状況などに応じてできる限り安全な速度と方法で進行しなければなりません。

 ① 反対方向からの交通

 ② 後方からの交通

 ③ 追い越す車や路面電車の前方の状況(車や歩行者、その他の障害物など)

 ④ 追い越す車や路面電車の速度とその進路

(2)右側追い越しと左側通過

  他の車を追い越すときは、その右側を通行しなければなりません。

 しかし、他の車が右折するため、道路の中央(一方通行では右端)に寄って通行しているときは、その左側を通行しなければなりません。

(3)路面電車を追い越す場合

 路面電車を追い越そうとするときは(原則として路面電車の軌道敷が道路の中央にあるため)、その左側を通行しなければなりません。しかし、軌道敷が道路の左端に寄って設けられているときは、その右側を通行しなければなりません。

(4)安全な側方間隔の保持

 追い越しの際には、追い越す車との間に安全な間隔を保たなければなりません。

(5)追い越しの運転手順

 ① 追い越し禁止場所でないことの確認

 ② 前方、右側方及び右斜め後方の安全確認

 ③ 右の方向指示、及び進路変更

  ⅰ 右の方向指示器を出します。

  ⅱ 約3秒後、最高速度の制限内で加速しながら進路をゆるやかに右に取り、前の車の右側を、安全な間隔を保ちながら通過します。

 ④ 左の方向指示、進路変更

  ⅰ 左の方向指示器を出します。

  ⅱ 追い越した車がルームミラー(二輪車はバックミラー)で見えるくらいの距離まで、そのまま進み進路をゆるやかに左に取ります。

  ⅲ 合図をやめます(二輪車は合図の消し忘れに注意します)。

Ⅲ 追い越されるときの注意

 追い越されるときは、追い越しが終わるまで速度を上げてはいけません。また、追い越しに十分な余地がない場合は、できるだけ左に寄り進路を譲らなければなりません。(加速の禁止・避譲)

「行き違い」

Ⅰ 側方間隔の保持

 対向車と行き違うときは安全な間隔を保たなければなりません。

Ⅱ 障害物があるときの避譲

 進路の前方に障害物があるときは、(障害物のある側の車が)あらかじめ一時停止か減速をして反対方向からの車に道をゆずりましょう。→そのほうが結果として早く通過することができます。

◯ 坂道での行き違い

 ① 坂道では上り坂での発進が難しいため、下りの車が上りの車に道をゆずりましょう。しかし近くに待避所(広い場所)がある場合は、上り下りに関係なく、待避所のある側が入って相手に道をゆずりましょう。

 ② 片側が転落のおそれのあるがけになっている道路で、安全な行き違いができないときは、上り下りに関係なく、がけ側(谷側)の車が一時停止して道をゆずりましょう。→そのほうが結果として、早く安全に通過することができます。

 

仮免学科試験対策【有料級】「進路変更など」

1 進路変更

(1)みだりに(むやみに、必要もないのに)進路変更してはいけません。また、進路を変更すると、後ろから来る車が急ブレーキや急ハンドルで避けなければならないような場合には、進路を変えてはいけません。やむを得ず進路を変更するときは、バックミラーや目視で安全を確認してから変更しましょう。

(2)車両通行帯が黄の線で区画されている場合は、この黄の線を越えて進路変更してはいけません。また、白の線で区画されている場合でも、自分が通行している車両通行帯の側に並行して黄の線が引かれているときも同じです。

2 横断など

(1)歩行者の通行やほかの車などの正常な通行を妨げるおそれがあるときは、横断や転回(Uターン)や後退をしたり、道路に面した場所に出入りするために右左折や横断をしたりしてはいけません。

(2)「車両横断禁止」、「転回禁止」の標識や「転回禁止」の標示によって、横断や転回が禁止されているところでは、横断や転回をしてはいけません。

(3)道路外に出るため、左折しようとするときは道路の左端に、右折しようとするときは道路の中央(一方通行では道路では右端)に、あらかじめできるだけ寄って徐行(すぐに停止できるような速度で進行)しなければなりません。

(4)前の車が道路外に出るため道路の左端や中央や右端に寄ろうとして合図をしている場合は、その進路変更を妨げてはいけません。しかし、急ブレーキや急ハンドルで避けなければならないような場合は別です。

3 追い越しなど

3−1 追い越しの禁止

 (1)追い越しとは、車が進路を変えて、進行中の車の前方に出ることをいいます。追い越しは、進路を変えて加速したうえで再び進路を戻すという複雑な運転操作を必要とします。

 (2)次の場合は危険ですから追い越をしてはいけません。

  ◯前の車が自動車を追い越そうとしているとき(二重追い越し

  ◯前の車が右折などのため右側に進路を変えようとしているとき

  ◯道路の右側部分に入って追い越しをしようとする場合に、反対方向からの車や路面電車の進行を妨げるようなときや前の車の進行を妨げなければ道路の左側部分に戻ることができないようなとき。

  ◯後ろの車が自分の車を追い越そうとしているとき。

(3)次の場所では、自動車や原動機付自転車を追い越すため、進路を変えたり、その横を通り過ぎたりしてはいけません。

  ◯「追い越し禁止」の標識により追い越しが禁止されている場所。

  ◯道路の曲がり角付近。

  ◯上り坂の頂上付近こう配の急な下り坂上り坂では追い越しができる)。

  ◯トンネル(車両通行帯があれば追い越しできる)。

  ◯交差点とその手前から30m以内の場所(優先道路を通行している場合は追い越しできる)。

  ◯踏切横断歩道自転車横断帯とその手前から30m以内の場所。

 【覚え方】「まさと横切る」・・・ま(曲がり角)さ(坂)と(トンネル)横切る(横切る場所・・・人が横切る場所といえば横断歩道、電車が横切る場所は踏切のように横切る場所とその手前30m以内は原則として追い越し禁止)

 (4)「追い越しのための右側部分はみ出し通行禁止」の標識や標示で示されているときは追い越しのために右側部分にはみ出して通行してはいけません。

 

3−2 追い越しの方法

 (1)ほかの車を追い越すときは、その右側を通行しなければなりません。しかし、ほかの車が右折するため、道路の中央(一方通行の道路では右端)に寄って通行しているときや、路面電車を追い越そうとするときは、その左側を通行しなければなりません

(2)追い越し中は、追い越す車との間に安全な間隔を保つようにしなければなりません。

(3)追い越されるときは、追い越しが終わるまで速度をあげてはいけません。また、追い越しに十分な余地のない場合は、できるだけ左に寄り進路をゆずらなければなりません

3−3 追い越しの運転手順

追い越しは次の順序でしましょう

 (1)追い越し禁止の場所でないことを確かめる。

 (2)前方の安全を確かめるとともに、バックミラーなどで右側や右斜め後方の安全を確かめる。道路の右側部分にはみ出した追い越しをする場合には反対方向の安全を必ず確かめる。

(3)右側の方向指示器を出す。

(4)約3秒後、最高速度の制限内で加速しながら進路をゆるやかに右にとり、前の車の右側を安全な間隔を保ちながら通過する。

(5)左側の方向指示器を出します。

(6)追い越した車がルームミラーで見えるくらいの距離までそのまま進み、進路をゆるやかに左にとる。

(7)合図をやめる。

3−4 割り込みなど

 前の車が交差点や踏切などで停止や徐行しているときは、その前に割り込んだり、その前を横切ったりしてはいけません。また、そのほかの場合でも、ほかの車の前方に急に割り込んだり、並進している車に幅寄せをしたりしてはいけません

3−5 行き違い

(1)対向車と行き違うときは、安全な間隔を保つようにしましょう。

(2)進路の前方に障害物があるときは、あらかじめ一時停止か減速をして、反対方向からの車に道をゆずりましょう