◯ 認知・判断・操作
認知・判断・操作に影響を及ぼす要因
認知・判断・操作に影響を及ぼし、反応時間を長引かせるなどの好ましくない結果のもととなる要因には、さまざまなものがあります。
これらの要因は飲酒や疲労のように、前もって予防できるものもあります。
① 飲酒
a 飲酒が及ぼす影響
お酒を飲んだときの判断には個人差があります。また、お酒を飲むと一時的に緊張がとけて気分が高揚するので、頭が冴えたように錯覚することもあります。
しかし、実際にはアルコールは確実に脳の働きを鈍らせます。物事を冷静に判断したり、論理的に考えることができなくなります。
お酒を飲んだ後に車を運転すると、判断力や自制心が鈍るために、的確な操作をすることができなくなります。
また視覚の働きが低下したり、距離や速度などの判断が狂うといったさまざまな悪影響が現れます。
b 飲酒運転の恐ろしさ
飲酒運転は、死亡事故などの重大な交通事故を引き起こします。お酒を飲んでから時間が経ったので、運転してもいいだろうと安易に考えることは大変危険です。
少しでもお酒を飲んだときは、絶対に運転してはいけません。また、運転する予定のある人にお酒を勧めたり、飲ませてはいけません。
② 疲労
a 疲労の原因
運転中に疲労を感じるような場合には、次のような原因が考えられます。
(a)睡眠不足などで生活リズムが乱れている。
(b)高齢であったり運転経験が短い。また疲れやすさにも個人差があり、疲れやすい人もいます。
(c)時刻、気温、道路の状況や走行距離、車内の環境などの条件によって疲れやすいこともある。
b 疲労が及ぼす影響
疲れた状態は、あくび、居眠りというかたちで現れたり、反応が遅くなるなどの変化が見られます。
目に見えない変化としては、心拍数が増加したり、血圧が上昇します。少しでも眠気などの変化を感じたら、なるべく早めに休息をとることが必要です。
C 過労運転を避ける方法
極度に疲れた状態で車を運転することのないように、次の点に注意しましょう。
(a)睡眠を十分にとり、体調を整えて心身ともに健康な状態で運転する。体調が悪いときや精神状態が不安定なときは運転しない。
(b)前もってゆとりのある運転計画を立て、長時間続けて運転しないようにし、少なくとも2時間に1回は休息を取る。
(c)疲れを感じた場合は無理をせず、早めに安全な場所に駐車し、仮眠を取ったり軽い運動をする(仮眠した直後の運転は危険です)。
③ その他の要因
運転者の体や精神の状態がよくないときは、反応が遅れたり、反応時間にムラが生じたりします。以下のような場合に注意しましょう。
a 心身の状態
かぜや病気で体の調子が悪い時、精神状態がよくないとき、また気分が浮かれているときは反応時間が長くなったり、不規則になったりします。
b 病気と薬
高血圧症、低血圧症、糖尿病など意識障害がいつ起きるか分からない病気やめまい、立ちくらみ、耳鳴り目のかすみなどの自立神経の失調や平衡感覚の障害を伴う病気を持つ場合は、反応時間が長くなる場合があります。
また、かぜ薬などの抗ヒスタミン剤、精神安定剤などの多くは反応時間を長引かせる原因になります。
C 年齢
一般に年を取るほど反応時間は長くなります。視力や聴力などが衰え、反射神経や筋力も低下します。
d その他
ぼんやり運転、運転経験の不足なども反応を遅らせる原因にもなります。