まずはじめに、「高速道路」とは、「高速自動車国道」と「自動車専用道路」をいいます。東名高速道路、名神高速道路は前者で、首都高速道路及び阪神高速道路は後者である。
Ⅰ 通行できない車
高速自動車道と自動車専用道路では、「ミニカー(マイクロカーで検索)、小型自動車二輪車(125cc配達用バイク)、原動機付自転車」は通行できません。
高速自動車国道は、農耕作業車のように構造上毎時50キロメートル以上の速度の出ない自動車や、ほかの車をけん引し(引っぱっ)ているため毎時50キロメートル以上の速度で走ることのできない自動車は通行することができません(互いにけん引装置が備えらているけん引自動車を除く)。
Ⅱ 速度と車間距離
1 最高速度または最低速度の遵守
① 標識や標示で最高速度や最低速度が指定されているところでは、その最高速度を超えたり、最低速度に達しない速度で運転してはいけません。
② 標識や標示で最高速度や最低速度が指定されていない高速自動車の本線車道では、下記の最高速度を超えたり、最低速度に達しない速度で運転してはいけません。
③ 標識、標示で指定されていない自動車専用道路での最高速度や最低速度は下記の適用はなく一般道路と同じ(時速60キロメートル)。
大型乗用自動車(乗車定員30人以上)、特定中型貨物自動車以外の中型自動車、準中型自動車、普通自動車、大型自動2輪車、125cc超の普通自動二輪車・・・時速100km
大型貨物自動車、特定中型貨物自動車、(車両総重量8,000kg以上、最大積載量5,000kg以上の貨物自動車)、三輪の普通自動車(クラシックカー)、大型特殊自動車(工事用作業車など)、けん引自動車(トレーラー)・・・時速80km
最低速度はともに時速50km
※本線車道が道路の構造上往復の方向別に分離されていない(中央分離帯ではなく、ポール等で対向車線と分離されている)区間では、この表の適用はなく、一般道路と同じ(時速60キロメートル)です。
※高速自動車国道で他の車をけん引して走ることができるのは、互いにけん引する(される)ための構造と装置がある車(トレーラー)をけん引する場合に限られます。
2 スピードメーターの確認
長時間を高速で走行したり、夜間に高速走行をしていると、速度感覚が鈍り、近くに障害物がないため実際の速度よりも遅く感じられ、速度を出しがちになります。
3 安全な車間距離
車間距離を十分とって走りましょう。路面が乾燥していてタイヤが新しい場合は、時速100キロメートルでは約100メートル以上、時速80キロメートルでは約80キロメートル以上の車間距離が必要です。
また、路面が雨で濡れていたり、タイヤがすり減っている場合は、この約2倍程度の車間距離が必要になることがあります。
Ⅲ 通行区分など
1 通行区分
走行中は、左側の白の線を目安にして車両通行帯のやや左寄りを通行するようにしましょう。後方の車が追い越す場合に十分な間隔がとれて、接触事故の防止となります。
2 けん引自動車(トレーラー)の通行区分
車両総重量が750キログラムを超える車をけん引している車でけん引するための構造と装置のあるものは、次の車両通行帯を通行しなければなりません。
① 車両通行帯が設けられた自動車専用道路(標識や標示で指定された区間に限る)では本線車道の最も左側の車両通行帯
② 高速自動車国道の本線車道では、その最も左側の車両通行帯(標識や標示によって通行区分が示されているときは、それに従う)
3 路側帯および路肩の通行禁止
高速道路の路側帯や路肩は、故障などでやむを得ず駐停車するため必要な限度において通行する場合のほかは通行することはできません。
4 登坂車線の利用
登坂車線のある道路では、荷物を積んだトラックなどの速度の遅い車は登坂車線を利用しましょう。(登坂車線は本線車道ではないので、時速50キロメートルに達しない速度で通行してはいけません。)
Ⅳ 禁止事項
1 二輪車の二人乗りの禁止
高速道路では、大型自動二輪車、普通自動二輪車は次の場合、二人乗りをしてはいけません。
① 大型自動二輪免許を受けた者で、20歳未満の者または大型自動二輪免許を受けていた期間が3年未満の者が、大型自動二輪車や普通自動二輪車を運転するとき。
ただし、20歳以上でかつ普通二輪免許を受けていた期間が3年を経過している場合は二人乗りをすることができます。
② 普通自動二輪免許を受けた者で、20歳未満の者または普通自動二輪免許を受けていた期間が3年未満の者が普通自動車二輪車を運転するとき。
2 転回(Uターン)、後退または横断の禁止
本線車道では、転回したり、後退したり中央分離帯を横切ったりしてはいけません。
3 緊急自動車の通行妨害の禁止
緊急自動車が本線車道へ入ろうとしているときや、本線車道から出ようとしているときは、その通行を妨げてはいけません。
4 駐停車の禁止
高速道路では次の場合のほかは、駐車や停車をしてはいけません。
① 危険防止などのため一時停止するとき。
② 故障などのため、十分な幅のある路肩や路側帯にやむを得ず駐停車するとき。
③ パーキングエリアやサービスエリアで駐停車するとき。
④ 料金の支払いなどのため停止するとき。
Ⅴ 故障時などの措置
1 路側帯または路肩の利用
故障その他の理由によりやむを得ない場合に停車または駐車するときは、十分な幅のある路肩、路側帯を利用しましょう。
2 故障車の表示
① 高速道路で故障、燃料切れ交通事故などにより運転することができなくなったときは、自動車の後方の路上に停止表示器材(停止表示板、停止表示灯)を置き、歩行が困難な場合は車のそばに停止表示灯(紫色のランプ)を置くこともできます。後続車に停止していることが分かるようにしなければなりません。
② 停止表示器材を置くときには、発炎筒を使って合図をするなど後続車に十分注意しましょう。また、風の強いときなどに停止表示版などを用いる場合には、倒れたりすることがないよう必要な措置を講じましょう。
③ 夜間は停止表示器材の他に、非常点滅表示灯、駐車等または尾灯をつけなければなりません。(昼間において視界が200メートル以下の場合も同じです)
④ 修理などが終わり現場を立ち去るときは、停止表示器材を置き忘れないようにしましょう。
3 車の移動及び非常電話の利用
故障、燃料切れ、交通事故などの理由により運転することができなくなったときは、110番通報で警察に連絡するとともに、近くの非常電話でレッカー車を呼ぶなどして、速やかに安全な場所へ移動させなければなりません。
また可能であれば、ギアをローカセカンドに入れ、セルモーターを使って路側帯や路肩へ移動させましょう(ただし、オートマチック車及びクラッチスタートシステム車には使用できません)。
二輪車は後続車に十分注意し、路側帯や路肩へ移動させましょう。
4 転落、飛散物の除去
高速道路上は危険ですから、荷物が転落、飛散したため、そのものを除去するなど必要な措置をとるときには、110番通報で警察に連絡するとともに、非常電話を利用して、荷物の除去の依頼などをしましょう。
5 避難
高速道路上で運転することができなくなった車にとどまることは、後続車が衝突する交通事故が発生するおそれが大きく、大変危険です。必要な危険防止措置をとった後は、車に残らずガードレールの外側などの安全な場所に避難しましょう。
Ⅵ 高速道路利用上の心得
1 高速道路の走行は、一般道路の走行に比べ、走行感覚が全く違うばかりでなく、目に見えない大きな危険が潜んでいます。したがって、高速走行をするときは高速道路のにおけるルールやマナーはもちろん、安全な高速走行に必要な知識を十分身につけることが大切です。
① 車の点検
高速道路を通行する場合は、特に次の点検をしなければなりません。高速道路で、燃料、冷却水、エンジンオイルの不足により、停止することのないようにしなければなりません。
・燃料の量が十分であるか
・冷却水の量が規定の範囲内にあるか
・ラジエータキャップが確実に閉まっているか
・エンジンオイルの量が適当であるか
・ファンベルトの張り具合が適当であるか、損傷がないか
・タイヤの空気圧が適当であるか(高速道路を走行するときは、空気圧をやや高めにするとよい)
・タイヤの溝(みぞ)の深さが十分であるか
② 積み荷の点検
高速で走行すると、荷物が転落、飛散しやすくなるので、高速道路を通行するときは、前もって荷物が転落、飛散しないように点検し、荷物を積み直すなど必要な措置を取らなければなりません。
③ 停止表示器材の用意
高速道路上で故障などによって停止するときは、停止していることを表示する停止表示器材を置かなければなりませんので、事前に準備しておきましょう。
停止表示器材は努めてTSマークの付いたものを使いましょう。
2 高速道路の特徴
高速道路は一般道路に比べ、その施設などにいろいろと特徴がありますので、あらかじめ理解しておく必要があります。
① インターチェンジ(IC)・・・高速道路の出入り口です
② サービスエリア(SA)・・・約50キロメートルごとにあり、トイレ、ガソリンスタンド、売店、食堂などがあります。
③ パーキングエリア(PA)・・・約15キロメートルごとにあり、トイレ、自動販売機などがあります。
④ 非常電話・・・おおむね1キロメートルごと(トンネル内は200メートルごと)の路肩に設置してあり、交通事故、故障のときなどに利用します。
⑤ ゲート・・・通行券の受け取り通行料金の支払いをするところです。ETC専用のものもあります。
Ⅶ 走行計画の立て方
① 無理のない運転計画
長時間連続しての運転は危険です。2時間に1回は休憩を取るゆとりのある運転計画を立てましょう。
② 正しい運転姿勢
シートベルトは正しく着用しましょう。また、同乗者にも必ずシートベルトを着用させなければなりません。
③ 高速催眠現象
高速道路は刺激が少なく、道路が単調なため眠気を催しやすくなります。あくびが出る、まぶたが重くなってきたら休憩をしましょう。また高速道路を利用する前日は十分な睡眠を取るように心がけましょう。
④ 案内標識のあらまし
案内標識は緑色です。方向や方面を前もって見ておき、出口付近や分岐点で慌てないようにしておきましょう。
⑤ 交通状況の確認
高速道路に入る前に、ウェブページやラジオの交通情報などで通行止めや迂回路などを確認すること、またトンネル内は位置情報が使用できませんので、ご注意ください。
Ⅷ 本線車道への進入
1 インターチェンジ(IC)入り口での注意事項
一般道路からインターチェンジに入るときは速度を十分に落としましょう。
① ゲートの確認
ゲートの手前では、進路変更に寄る接触事故や追突事故が多いので、車の流れに注意しながら目的地に近い入口を利用するようにしましょう。その際に、合図を積極的に活用しましょう。
② ブースへの進入
青信号の点いているブースに進入します。ETC(ノンストップ自動料金収受システム)を備えている車両は、カードの挿入の確認と専用の入口を利用します。
もし、入口を間違えたりゲートが開かなかった場合は、後退は禁止されています。係の人の誘導を待ちましょう。
③ 通行券の受け取り
一般の料金所(ブース)では必ず一時停止し、係の人または通行自動発券機から通行券を受け取ります。通行券を受け取りやすいように、ブースから離れすぎないようにしましょう。ETCを備えている車両はノンストップ(時速20キロ以下)で通過することができます。
2 本線車道への進入時の注意事項
① 行き先の確認
ゲートを通過したら、案内標識を確認し進入方向を間違えないようにしましょう。
② ランプウェイ(接続道路)の走行
ランプウェイは本線ではありません。制限速度を守って走行しましょう。
③ 本線車道への合流
本線車道に入ろうとする場合で、加速車線があるときは、加速車線を通行して十分に加速しなければなりません。また、本線車道へ入ろうとするときは、本線車道を通行している車の進行を妨げてはなりません。
Ⅸ 本線車道での走行
1 走行上の注意事項
① 急ブレーキの回避
高速走行中に急ブレーキを掛けることは大変危険です。ブレーキを掛けるときは、アクセルを緩めてから一段低いギアに落とし。エンジンブレーキを使用するとともに、フットブレーキを数回に分けて踏みましょう(ポンピングブレーキ)。また二輪車の急ブレーキは、転倒につながる危険性があるので、早めに速度を落としましょう。
② 急ハンドルの回避
高速走行中の急ハンドルは避けましょう。二輪車も同様に転倒の危険があります。早めの交通状況を確認しておきましょう。
③ トンネル進入時の注意
高速でトンネルに進入すると、視力が急激に低下するのでトンネルに入る前に速度を落としておきましょう。
④ インターチェンジなどの付近を走行するときの注意
・加速車線から合流してくる車両の有無を確認しておく
・合流してくる車両の速度と進路を読み取り、そのままの速度で通行するのか、追い越し車線に入って進路を譲るのか、減速して進路を譲るのか見きわめます。
⑤ 疲労時の措置
走行中に疲れを感じたり、眠気をもよおした際には最寄りのパーキングエリアやサービスエリアを利用して休憩しましょう。仮眠をとった直後の運転は危険なので少し間隔を空けてから運転を再開しましょう。
⑥ 夜間走行などの注意
原則、前照灯は上向きで道路上の危険を早く発見しましょう。対向車や照明で明るい時は下向きに切り替えます。
⑦ 道路情報板の活用
通行止めや交通事故、逆走車の情報などは高速道路に設置してある情報板を見て、注意して走行しましょう。
2 追い越し時の注意事項
高速道路での追い越しは危険を伴いますので、できるだけしないようにしましょう。やむを得ず追い越しをする場合には、次のことに注意しましょう。
① バックミラーで後方や追い越す車の前方を確認しておく
② 安全であれば右の方向指示器を操作する
③ 右のバックミラー、死角は目視をして約3秒後、進路を右に変える
④ 速度は落とさずにルームミラーに追い越した車が映ったのを確認したら、左の進路変更の合図を出す
⑤ バックミラーと目視で安全が確認できたら、約3秒後左に進路を変える
3 天候などに応じた適切な運転
① 雨天時などの運転
雨や雪、霧などの運転は視界を悪くします。また路面が滑りやすくなるので、車間距離は晴れている日よりも空けて、速度も控えめに運転しましょう。
濡れた路面で溝のないすり減ったタイヤで、わだち(タイヤの通った跡)部分を高速走行をすると、ハイドロプレーニング(水上滑走)現象が起きやすくなります。
② 強風時の運転
トンネルを出た直後や、橋の上で強い横風を受け、ハンドルを取られることがあり大変危険です。吹き流しの状態を確認しておきましょう。
③ 夜間の運転
夜間の高速走行は視界が狭くなり、速度感覚が鈍くなり速度を出しがちになるので、時々速度計を確かめましょう。
Ⅹ 本線車道からの離脱
1 本線車道から離脱時の注意事項
高速走行を続けた後はかなり速度感覚がマヒしています。ランプウェイ(接続道路)に入ってから、急ハンドルや急ブレーキとならないようにしましょう。
① 出口の案内標識200メートル手前になったら、走行車線に戻りましょう。
② 出口の標識が出てきたら、早めに合図を出しましょう。本線では急ブレーキは禁止されていますので、減速車線に入ってから規制標識の速度まで速度計を見て減速します。
③ ランプウェイはカーブがきついところもあります。速度を十分に落とし、確実なハンドル操作をします。
2 インターチェンジ(出口)の注意事項
ゲートの手前では、追突事故が多いので十分注意しましょう。ブースを出た後の進路に近いゲートを選びましょう。
3 一般道路に応じた速度での走行
高速道路から一般道路に出てしばらくの間は、高速走行の感覚が残っていて、ついつい速度を出し過ぎたり、追突しそうになる場合がありますので注意してください。