Ⅰ 駐車と停車の意味
1 駐車の意義 駐車とは、
① 車(主に自動車・軽車両・原動機付自転車)が継続的に(ずっと)停止すること
② 運転者が車から離れていてすぐに運転できない状態で停止すること
・(タクシーなどの)客待ち、(迎えの)人待ち
・5分を超える荷物の積み降ろし
・故障
・電話ボックスでの電話など、すぐに運転できない状態での停止
2 停車の意義 停車とは駐車以外の短時間の停止のことをいいます。
・人の乗り降り
・5分以内の荷物の積み降ろし
・すぐに運転できる状態での短時間の停止
Ⅱ 駐車、停車の禁止と例外
1 駐車、停車禁止の必要性
違法な駐停車は、付近の交通を混雑させるとともに、道路の見通しを悪くするため、飛び出し事故などの原因になります。また、パトカーや消防車など緊急自動車の通行を妨げるおそれもあります。駐停車しようとする場合には、必ず駐停車できる場所であることを確認しましょう。
2 駐停車禁止の場所
次の場所では、駐車も停車もしてはいけません。ただし、赤信号や危険防止のため一時停止する場合などは別です。
① 駐停車禁止の標識(「バツ」のデザイン)や標示のある場所
② 軌道敷内
③ 坂の頂上付近と勾配(10%以上)の急な坂(上り、下りすべて)
④ トンネル
⑤ 交差点とその端から5メートル以内の場所
⑥ 道路の曲がり角から5メートル以内の場所
⑦ 横断歩道と自転車横断帯とその端から前後5メートル以内の場所
⑧ 踏切とその端から前後10メートル以内
⑨ 安全地帯の左側とその前後10メートル以内の場所
⑩ バス、路面電車の停留所の標示板(標示柱)から10メートル以内の場所(運行時間中に限る)
【覚え方】
5メートル・・・コ(交)マ(曲)ヨコ(横)
コに濁点をつければゴ(5)となり、5メートルを連想。
10メートル・・・フ(踏)アン(安)テイ(停)
ンテをひっくり返すとテン(10)となり、10メートルを連想。
キサカトンネル・・・キ(軌)サカ(坂)トンネル
ちなみに、5メートルは自動車の長さ、10メートルはバスの長さです。
3 駐車禁止(停車はできる)の場所
次の場所では駐車してはいけません。しかし、警察署長の許可を受けたときは別です。
① 標識(Noのデザイン)や標示によって駐車が禁止されている場所
② 火災報知器から1メートル以内の場所(人がボタンを押せれば良いので1m)
③ 駐車場、車庫などの自動車専用の出入口から3メートル以内の場所
④ 道路工事の区域の端から5メートル以内の場所
⑤ 消防用機械器具の置き場、消防用防火水そう、これらの道路に接する出入口から5メートル以内の場所
⑥ 消火栓、指定消防水利の標識が設けられている位置や消防用防火水そうの取り入れ口から5メートル以内の場所
【覚え方】
「一家 サンデー GO交渉」・・・1火3出5工・消
4 無余地駐車禁止とその例外
駐車する場合、車の右側の道路上に3.5メートル以上の余地がなくなる場所では駐車してはいけません。また標識により余地が指定されているときには、その余地がとれない場所では駐車してはいけません。
しかし、次の場合は駐車できます。
① 荷物の積み下ろしで運転者がすぐ運転できるとき
② 傷病者の救護のためやむを得ないとき
【覚え方】
「産後は小児科」・・・3.5は傷荷可
5 標識による駐停車可
駐停車や駐車が禁止されている場所であっても、標識により特に認められている場合は、駐車や停車ができます。(指示標識の駐車可、停車可)
Ⅲ 駐車と停車の方法
駐車や停車は次の方法でしなければなりません。
① 歩道や路側帯のない道路では、道路の左端に沿うこと。
② 歩道のある道路では、車道の左端に沿うこと。
③ 路側帯のある道路では、路側帯の幅が0.75メートル以下の場合は、車道の左端に沿うこと。
④ 路側帯の幅が広い場合には、路側帯に入って車の左側に0.75メートル以上の余地を空けること。
⑤ 実線と破線の路側帯(駐停車禁止路側帯)、2本とも実線の路側帯(歩行者用路側帯)は車道の左端に沿うこと。
⑥ 高速道路で故障などのためやむを得ず駐停車する場合は、路側帯に入って、道路の左端に沿うこと。
⑦ 道路の並行して駐停車している車と並んで駐停車しないこと(二重駐停車禁止)
⑧ 標識や標示により駐停車の方法が指定されているときは、その方法に従うこと。
【0.75の意味・・・車いすの幅が0.7メートルなので、車いすが通行できるようにするため】
Ⅳ 駐車時間の制限など
1 長時間駐車の禁止
① 道路を車庫がわりに使用してはいけません。
② 道路上に駐車する場合、同じ場所に引き続き12時間(夜間は8時間)以上駐車してはいけません(特定の村の区域を除きます)。
2 時間制限駐車区間における駐車の方法など
① 時間制限駐車区間での駐車
都市部においては、多くの場合駐車が禁止されていますから、パーキングメーターやパーキングチケット発給設備のある場所(時間制限駐車区間)で手数料を支払って駐車する場合のほかは、道路上での駐車は原則としてできません。
② パーキング・メーターなどのある場所での駐車方法
パーキング・メーターなどがある場所で駐車するときは、次のようにしなければなりません。
・ パーキング・メーターがある時間制限駐車区間で駐車するときは、パーキング・メーターを直ちに作動させること。
・ パーキング・チケット発給設備のある時間制限駐車区間で駐車するときは、パーキング・チケット発給設備からパーキング・チケットの発給を直ちに受け、駐車している間、これを車の前面の見えやすい場所(フロントガラスのある車では、その内側)に掲示すること。
・ 時間制限駐車区間では、パーキング・メーターが車を感知したとき、またはパーキング・チケットの発給を受けた時から、標識によって表示されている時間を超えて駐車しないこと。
3 高齢運転者等専用車等での駐車と停車
① 駐車や停車が禁止されている場所であっても、標識により標章車に限り駐車や停車が認められている場所(高齢運転者等専用場所)では、専用場所駐車標章に登録(車両)番号が記載されている普通自動車のみが駐車や停車ができます。
② 標識により標章車に限り駐車が認められている時間制限駐車区間(高齢運転者等専用時間制限駐車区間)では、専用場所駐車標章に登録(車両)番号が記載されている普通自動車のみが駐車できます。
③ 専用場所駐車標章は、普通自動車は運転することができる免許を受けた者で、次に当たる者に限り、公安委員会に申請して交付を受けることができます。
・70歳以上の高齢運転者
・両耳の聴力が補聴器を用いても10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえない程度の聴力障がいのあることを理由に、免許に条件を付されている運転者
・肢体不自由であることを理由に免許に条件を付されている運転者
・妊娠中または出産後8週間以内の運転者
④ 高齢運転者等専用場所または高齢運転者等専用時間制限駐車区間で駐車や停車をしている間、専用場所駐車標章を普通自動車の前面の見やすい場所(フロントガラスのある普通自動車ではその内側)に掲示しなければなりません。
⑤ 高齢運転者等専用場所または高齢運転者等専用時間制限駐車区間では、公安委員から専用場所駐車標章の交付を受けていない者は、駐車や停車をしてはいけません。
4 違法駐車に対する措置
① 車の移動など
・違法に駐車している車の運転者やその車の管理について責任がある者は、現場で警察官や交通巡視員からその車を移動するように命令されたときは、ただちに移動しなければなりません。
・違法に駐車している車については、現場に運転者やその車の管理について責任がある者がいないために、警察官や交通巡視員がその車を移動すべきことを命令することができないときは、レッカー車により移動されることがあります。この場合の車の移動、保管などに要した費用は、車の運転者、使用者、所有車などの負担になります。
② 放置車両確認標章
・違法に駐車している車に対して、放置車両確認標章が取り付けられることがあります。放置車両確認標章を取り付けられた車の使用車は、公安委員会から放置違反金の納付を命ぜられることがあります。
・放置車両確認標章を取り付けられた車は、運転するときは交通事故防止のため、放置車両確認標章を取り除くことができます。
・取り除くことができる者は、標章を取り付けられた車の使用者(車検証に記載されている)、運転者やその車の管理について責任がある者です。それ以外の者は標章を破ったり、汚したり、取り除いてはいけません。
Ⅴ 車から離れる時の措置
1 危険防止のための措置
① 4輪車の場合
車から離れるときは、車が暴走しないように次の措置を取らなければなりません。
・ハンド(駐車)ブレーキをかけ、エンジンを止めること
・ギア(マニュアル車)は平地や下り坂ではバック(R)、上り坂では(ロー)に入れておくこと。オートマチック車は場所に関係なくP(パーキング)に入れておくこと。
・坂道では輪止めをしておくこと
② 2輪車の場合
二輪車から離れるときは、二輪車が暴走しないように次の措置を取らなければなりません。
・固い平坦な場所を選ぶ
・エンジンを止める
・センタースタンドを立てる
・エンジンキーを抜く
2 盗難防止のための措置
盗難車が犯罪に使用される例が多く見られます。車から離れるときは車を盗まれないように次のような措置を取らなければなりせん。
① 4輪車の場合
・エンジンを止め、キーを抜く
・窓を確実に閉め、ドアをロックする
・ハンドル施錠措置などがあれば盗難防止措置を作動させる
・貴重品が外から見えないように、トランクなどに入れる
② 2輪車の場合
・ハンドルをロックし、キーを抜く
・車輪ロック装置などを使い施錠する
Ⅵ 保管場所の確保
1 保管場所の確保
自動車の保有者は(大型自動2輪車、普通自動車2輪車を除く)、住所など自動車の使用者の本拠の位置から2キロメートル以内の道路以外の場所に自動車の保管場所を確保しなければなりません。
2 保管場所標章
自動車の保有者が保管場所証明書の交付を受けたときや、軽自動車の保管場所の届け出をしたときは、警察署長の交付する保管場所標章を自動車の後面ガラスなどに表示しなければなりません。
Ⅶ 駐車の及ぼす影響
たとえ駐車禁止の場所でなくても、路上駐車は他の交通の流れの妨げとなり、飛び出し事故などの危険を生じさせます。また、パトカーや消防車など緊急自動車、路線バスの通行を妨げたりします。
駐車場があれば駐車場を利用するようにしましょう。やむを得ず道路に駐車する場合は、その場所が駐停車禁止場所でないか、安全が確保できるか、正常な交通の妨げとなっていないかを確認しましょう。