ドライバー日記

世の中から交通事故を無くしたい。

運転をやめる日

 運転免許を返納する日、私自身が決断するのか、それとも、家族に決められてしまうのか。運転免許証を保有されているみなさんは、どう考えますか。

1 免許返納

 運転免許は一生持っていられる許可証のようなもの。この世に生を受けたときにはすでに運転を禁止されていて、それを免除してもらう証である。一生持っていられるものだが、高齢者の重大な事故のニュースを受け、社会問題ひいては家庭の問題でもあるし、個人の問題でもある。私の選択肢はというと「返納しない」である。しかしながら、もし認知症になってしまったら、家族に返納してもらいたい。

2 高齢者と運転

 高齢ドライバーの事故は、ニュースに取り上げられるものとして「アクセルとブレーキの踏み間違え」がある。しかし、それは大きな誤解である。実は、若い人も同じくらい踏み間違え事故を起こしているのだ。でも若い人は高齢者に比べて瞬発力があるので、間違えてもすぐにブレーキを踏み直すことができるから、被害を最小限にできるのである。反対に、高齢者はブレーキペダルだと思って、さらにアクセルペダルを強く踏み込んでしまったり、すぐにブレーキを踏むことができない。高齢者になっても反応時間は変わらないが、たいていの場合、体力や筋力が衰えているからだ。ニュースで映像として流される理由としては、自動車が何かとぶつかって大破した絵(映像)は人を惹きつける。つまり、視聴されやすくなるため、結果として視聴率が上がり、広告主を笑顔にできるのだ。

3 高齢者講習

 高齢者講習は、運転免許証の更新期間の満了日(誕生日+1ヶ月)に70歳〜74歳の人が免許証更新の前に受けなければならない講習である。75歳以上になると、講習前に、認知機能検査があり、その結果によって講習内容が変わる。ちなみに高齢者講習期間は、更新期間満了日の6ヶ月前から満了日までの間に受けなければならない。高齢者講習受講の案内がハガキで来ると思うので、来たら予約するとよい。

 私は以前に指定自動車教習所で働いていて、高齢者講習も担当していた。普通免許の70歳から74歳の高齢者講習は2時間で、教習指導員の座学、視力等の適性検査、教習所のコース内の教習車を使用した運転を行う。ほとんどの受講者の方はなんの問題もなく受講され、受講証を受け取り後日あるいは当日の午後に更新に行き、更新される。たまに、せっかちな人が免許センターへ更新日前に行ってしまったり、受講証を紛失しまって再発行なんてこともあるが。

 問題はというと語弊があるが、苦労するのは75歳以上(後期高齢者)の高齢者講習である。予約日を忘れて欠席、受講案内のハガキを忘れるなんてのは日常茶飯事。そんなトラブルがあっても、時間内に講習を始めて、終わらなければならない。なにせ警察の業務を請け負っているのだから。

4 認知機能検査

 75歳以上の高齢者講習を前に受ける「認知機能検査」とは、簡易的な記憶テストである。内容は、まず今日の日にちを書いてもらう。元号(現在であれば令和)から記入する。平成なんて書いてしまったら、大減点を食らうので注意。次に一度に4つの絵(イラスト)を観る。担当者が指し棒で指すので、声に出して言いそれを覚える。それが4回、計16の絵(イラスト)を記憶するのだ。記憶した後、違うテストをするのだが、実はこのテストは全く配点に関係ない。というのも、単に次のテストまでの時間稼ぎなのである。どのような内容かというと、1ページにびっしり数字が書かれているので、担当者が指定する数字を、その数字の上に斜めの線を引いていく、というものである。その次のテストが実は重要で、先ほど覚えたイラストをいくつ書き出せるかというテストである。まずノーヒントで16個書き出せるかチャレンジ(7〜8個書き出せればまずまず)。その後、横にヒントが書かれているからそのヒントを頼りに書き出す。これらの記憶テストの配点が高いのである。ちなみにヒントは担当者が、最初に声に出して言うので、受講者は担当者の後に続いて声に出して言う。そして、最後に時計の文字盤と講習担当者が任意で時間を指定する(「10時10分を示すように針を記入してください。」のように言う)ので、その時間を示すように時計の針を記入する。このとき、短い針と長い針をはっきり分かるように描く、ことがポイントである(同じ長さだと減点される)。

 その結果(1〜3段階)を元に即日、次回の高齢者講習(簡易的な視力・視野検査と実技、座学)の予約をするのである。次回の実技を伴う講習を受講すれば、よほどのことがない限り、受講証明書をもらえるので、高齢者講習を予約した自動車教習所で講習をその日のうちに、或いは後日免許センターなどで、免許更新をすることができる。視力検査はあるので、視力が心配な方は事前に眼科医へいくと良いかもしれません。

(※高齢者講習を担当していたときの記憶を元に記事にしてあります。テストの順番や地域性、時間経過とともに内容が多少異なる場合があります。心配される方は最新の情報をご確認の上、受講してください。また、心配な方は、本屋で高齢者講習についての本が売られています。)